歯科コラム

Column

歯科医が教える 歯についての豆知識

この記事を書いたのは…
畑 伸二郎
こころ歯科クリニック 院長 畑 伸二郎

徳島大学歯学部卒業後、愛知県大府市にてこころ歯科クリニックを開院。マイクロスコープ(手術用顕微鏡)を歯科治療に利用し、またそれに関する講演も行っている。

 

歯周病が全身疾患にも関係しているって本当?

2019年03月28日
歯周病はお口の中の疾患であり、日本人の約8割の人々が歯周病に罹患していると言われている国民病とも認識されています。そのお口の中の疾患として認識されている歯周病ではありますが、近年の研究により歯周病は、全身疾患にも関係していると考えられるようになりました。そこで今回は、歯周病が全身疾患にどのように関係しているのかを、ご紹介してまいりましょう。

歯周病とは?

歯周病とは?
歯周病とは、歯周病菌によって引き起こる炎症性疾患であります。歯と歯肉の溝を歯肉溝と呼び、その溝に歯周病菌であるプロフィロモナス・ジンジバーリス(P.g菌)や、トレポネーマ・デンティコーラ(T.d菌)、タンネレラ・フォーサイセンシス(T.f菌)などが停滞し、毒素を排出することで周囲の歯肉などの歯を支える歯周組織である、歯槽骨、歯根膜、セメント質に炎症をきたします。

歯周病は突然に発症するわけではありません。お口の中の清掃が上手くおこなわれていなかったり、おろそかになってしまったりした場合に、歯肉溝を住みかにするプロフィロモナス・ジンジバーリス(P.g菌)を始めとする歯周病菌が増殖していき、細菌の塊であるプラークに姿を変え歯石になり、更なる歯周病菌を呼び寄せ、歯肉を炎症させます。

炎症が歯肉までの場合は歯肉炎とされ、自覚症状は歯磨きの際に少量の出血を伴う程度ではありますが、炎症が歯肉のみに収まらずに、歯槽骨、歯根膜、セメント質にまで炎症が広がってしまった場合には歯周病と診断され、更なる出血や、歯肉の腫れ・膿の症状と共に、歯周組織も徐々に溶かされていき、歯肉溝の深さが4mm以上に達すると歯周ポケットと呼び、歯周ポケットが深ければ深いほどに歯周病の進行度は高くなり、遂には歯を支えきれなくなってしまいます。

歯周病が及ばす影響

歯周病は、歯を失ってしまうだけではありません。お口の中で増殖した歯周病菌は、歯肉から血管を通り全身に行き渡り、さまざまな影響を及ぼします。

糖尿病

歯周病は糖尿病も合併症であり、糖尿病発症のリスクファクターであると、糖尿病学会でも報告されており、全身に回った歯周病菌がインスリンを効きにくくしてしまうため(インスリン抵抗性)、糖尿病を発症または進行させてしまいます。

肺炎

高齢者の死亡原因で最も多い疾患が誤嚥性肺炎です。歯周病は年齢を重ねる毎に罹患率が上昇し、65歳以上、75歳未満の方である前期高齢者の罹患率は53%、75歳以上の後期高齢者にいたっては62%もの方が歯周病に罹患しているとされ、歯周病菌が潜む唾液を誤嚥するなどして、肺に歯周病菌が炎症をきたし、肺炎を誘発してしまう場合があります。

心内膜炎

本来は無菌である血液内に歯周病菌が侵入し(菌血症)、心内膜炎を誘発する場合があります。

心筋梗塞

歯周病に罹患していない方と、歯周病に罹患している方とを比べると、罹患していない方の2.8倍もの確率で歯周病に罹患している方は脳梗塞になりやすいと報告されています。

動脈硬化

動脈硬化には3つの種類が存在し、その中の1つのアテローム性動脈硬化の患部から歯周病菌の遺伝子が検出され、歯周病菌が関係していると考えられています。

エイズ(潜伏感染HIVの活性化)

歯周病菌である嫌気性グラム陰性菌が産みだす酪酸が潜伏感染しているHIVを活性化させ、HIVを発症させてしまう原因となる場合があると考えられています。

脳卒中

歯周病菌が血液内に侵入し、血液を凝固させてしまい血流の流れを遮り、脳梗塞を発症させてしまうリスクを高めます。

バージャー病

難病に指定されているバージャー病は、閉塞性血栓性血管炎の一種とされています。発症原因などは不明ではありますが、病変部位から歯周病菌が検出されることも多く、関連性が高いと考えられています。

早産・低体重児

歯周病菌が全身に回り妊娠中の場合には、早産のリスクが高まるだけではなく、低体重児出産となるリスクも歯周病に罹患していない方と比べると7倍にもなり、その影響力は喫煙や飲酒、高齢出産などよりも高くなる傾向が見受けられ、妊娠・出産と歯周病は関連性があると考えられています。

歯周病を防ぐには?

歯周病を防ぐには?
上記でご紹介したような全身疾患を誘発させないために、また歯を失わないためにも、自宅でおこなうセルフケアと歯科医院でおこなうプロフェッショナルケアを併用しておこない、歯周病予防をおこないましょう。歯周病は静かなる病気という意味の“サイレントディジーズ”とも呼ばれ、気づいた時には歯周病がかなり進行してしまっているケースも少なくありません。そのためにも歯科医院で定期的に検診をおこない、必要に応じて歯のクリーニング、歯ブラシでは落としきれない歯石を除去するスケーリングなどをおこない、更には正しい歯磨き方法を身に付け歯周病予防へ繋げましょう。

歯周病は、私たちの身近にある疾患であり、誰もが罹患する可能性を秘めています。歯を失ってしまう恐れのある疾患であるだけでなく、更には全身疾患にも影響を及ぼす恐れのあるお口の中の疾患でもあります。お口の中と全身の健康を維持するためにも、歯周病を予防しましょう。

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