マイクロスコープ(手術用顕微鏡)によるむし歯治療
マイクロスコープ(手術用顕微鏡)を治療に用いることで、拡大視野下でより正確な診断・治療ができるようになってきました。これにより再治療をできるだけ減らし、生涯における通院回数を少しでも減らすことができればと思っています。
肉眼では認識することが困難な歯の細かい凹凸やヒビ、深部のむし歯などを想像ではなく、視覚で診断する能力が大幅に向上、さらに丁寧な治療を行うことができるようになってきました。今までの肉眼での治療では、識別できる視界にどうしても限界があるため、削る必要のない箇所までも削ってしまっていた可能性があります。
マイクロスコープ(手術用顕微鏡)での精密歯科治療が行なわれる以前は肉眼やルーペでの治療が主流でした。やむを得ずむし歯の治療においては、大きく削る(マイクロスコープ(手術用顕微鏡)での治療レベルと比較すると)ことが行なわれてきました。わずかなむし歯を削るために、健康な歯質を大きく削り犠牲にしてきたと言えます。(小さなむし歯の銀歯の治療がその代表)マイクロスコープ(手術用顕微鏡)の出現と接着技術によりミクロの世界の確実なむし歯治療が可能となりました。
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従来のむし歯治療
予防拡大という誤った概念(=むし歯になってしまったところはさらに中で広がってしまっている可能性があるから、念のためにあらかじめ大きめに削る。)により、かつてのむし歯の治療では大きく削ることは正しいと教育され、それは100年前からはほぼ変わらない考え方で、小さなむし歯が大きく金属で詰められているのは、修復物をつける接着剤の技術が低かった時代の産物です。
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現代のむし歯治療
現代の接着技術とマイクロスコープ(手術用顕微鏡)により健康な歯質はなるべく削らずに、最小限の削除量でむし歯の治療が可能になってきました。
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マイクロスコープ(手術用顕微鏡)の特徴
- 丁寧でより正確にむし歯を除去できる
- 削りすぎることが少なくなる
- 効率のよい治療ができ、治療時間・通院期間の短縮につながる
カリエス処置+セラミックセット
- 導入実績がまだまだ少ない
- 日本におけるマイクロスコープ(手術用顕微鏡)の歯科への導入は、まだまだ進んでおりません。日本全国の歯科医院でたった5%前後といわれています。まず機器が高額なこと、そして使いこなすためのトレーニングが必要であることなどが原因となっているからです。
- 脳外科などでも使われている
- マイクロスコープ(手術用顕微鏡)は脳外科・眼科などでも使われています。また、アメリカの根管治療(歯の根の治療)では、マイクロスコープ(手術用顕微鏡)を使うことが義務づけられている州もあるくらいです。
コンポジットレジンの下のむし歯
詰め物の下のむし歯
むし歯について
~むし歯の進行プロセス~
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むし歯の治療ケース
口の中には、菌が少ない人でも120種、多い人なら350種以上も存在していると言われています。
歯の表面には歯垢等の汚れがついており、むし歯の原因となるミュータンス菌(むし歯菌)がたくさんいます。ミュータンス菌は、私達の食生活内にある砂糖(糖質)を利用し、酸をつくって歯を溶かします。これを「脱灰」といいます。脱灰が進むと歯が溶けて穴があいてしまいます。歯垢を除去せずにそのままに放置したり、砂糖(糖質)を多く摂取する習慣があると、脱灰が進行して、再生が不可能となったものがむし歯となるのです。
また、ミュータンス菌を歯面に付着したまま放置しておくと、ミュータンス菌は砂糖(糖質)を分解して、水に溶けないネバネバを作り出し、ミュータンス菌以外の口腔内常在菌を歯の表面にくっつけ、細菌の塊である歯垢を形作ります。そのままの状態でい続けると、バイオフィルムを形成し、酸素や細菌を壊す酵素・薬液を通さなくなります。この状態になると薬で取り除くことはできません。歯ブラシ、歯間ブラシ、フロス、などで機械的に掃除するしかありません。 -
バイオフィルムとは
バイオフィルムとは口腔内の歯周病菌、その他の雑菌によって構成される細菌の膜のことをいいます。分かりやすくイメージすると、キッチンの流しやお風呂場の浴槽などに付着する”ヌルヌル”です。それはミュータンス菌や口腔内常在菌が、粘性のフィルム状の膜をつくって繁殖しやすい環境に成長したものです。
バイオフィルムは歯面や歯と歯肉の間の歯周ポケットに付着するだけでなく、舌の表面(口臭の原因となる舌苔)や入れ歯にも強固に付着しています。特にバイオフィルムが付着するのは、ブラッシングでもきちんと磨けていない部分で、組織の炎症や破壊を引き起こしむし歯・歯周病の原因となります。このようなむし歯の増殖を抑えるのはやはり、日ごろの正しいブラッシングが必要不可欠であり、定期的なケアが重要となります。 -
むし歯の進行度
むし歯の進行度は、C0・C1・C2・C3・C4という順番に分類されています。
数字が大きくなるほど、むし歯の状態が悪化しているということになります。
一番数字の小さいC0は、歯の不透明感や白斑・色素沈着があるものの、むし歯によるくぼみが確認できない状態のことを言います。
C1以降については、以下をご覧ください。-
むし歯の進行度
C1C1は、エナメル質に限局したう蝕のことをいい、対策次第ではC0に戻すことも可能といわれています。
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むし歯の進行度
C2C2は、エナメル質の下の象牙質にまでむし歯が進行しています。見た目でも歯に黒い筋がついてきます。冷たいものや熱いものが歯にしみるようになります。
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むし歯の進行度
C3C3は、象牙質の下にある歯随までむし歯が進行している状態です。歯随には血管や神経が通っているため、かなりの痛みを伴ってきます。歯の表面にも大きな穴があきます。
根管治療 -
むし歯の進行度
C4C4は、歯ぐきから上の部分がむし歯によってほとんど溶けている状態です。歯の根元や歯ぐきから膿が出てきたりします。痛みもひどくなり、場合よっては頬が腫れてしまうこともあります。
インプラント オーダーメイド義歯
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