マイクロスコープ(手術用顕微鏡)を用いた根管治療
根管治療は、「手探りの外科治療」とも言われています。実際に目ではみえない細かいところを、勘と経験で手探りで治療しているのが現状です。
その精度には限界がありました。根管治療は歯の中に神経が入り込んでくるごく細い管(根管)の中の治療です。この根管は人それぞれで、湾曲していたり、複雑に枝分かれしていたりもします。
また、大臼歯などでは根管は3本、4本と複数あり、そのすべてに完全な治療を行わなくてはなりません。
この細かく複雑な根管内に神経組織や細菌が残ってしまうと、時間をかけ細菌が増殖し、骨の中に膿が溜まって歯茎が腫れたりするのです。マイクロスコープ(手術用顕微鏡)はその根管の中を明るく照らし、直接目で視ながら治療ができます。このマイクロスコープ(手術用顕微鏡)は拡大鏡(ルーペ)とは全く違います。見たいところを拡大して見られることに違いはありませんが、狭くて暗い根管の奥まで光を照らすことがマイクロスコープ(手術用顕微鏡)で可能になります。
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根管治療/歯内療法では
マイクロスコープの実力を
大きく発揮根管(歯の根の管)が消失して治療不可能なところを、最新の超音波切削器を使用して注意深く切削(ドリルとは違い、極少量しか切削できないので安全)しながら見つけ出し、従来なら抜歯に至る症例を保存できる可能性が増えます。
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根管治療について
歯の中にある神経が入っていた空間をきれいに洗浄しお薬を詰めることです。
根管治療には2通りの場合があります。
◆歯の神経はまだ残っているがむし歯が大きくてその歯の神経を取る必要がある場合。
◆治療は受けているが根っこの先に膿みの袋が出来ていたり、詰めものが取れ一度治療した神経の空間が再感染をしている場合です。
どちらも治療方法は同じですが、再根管治療は神経が入っていた空間の中に何かの障害が起こっている場合があり、治療が困難な場合があります。 -
ラバーダム防湿
適切な治療を行う為に欠かせないラバーダム防湿法について
口腔内は細菌の培養器と同じ環境で、湿潤、栄養、酸素、無酸素など、細菌増殖に好環境です。そのため、唾液には多数の細菌が存在しています。
本来は無菌状態である歯の神経や根の先が、唾液に触れた瞬間に細菌に感染します。
歯を治療するということは体の内部(臓器や血管・神経など)の外科手術をしていることと全く同じで、いかに無菌的な処置をするかが重要です。ラバーダム防湿法は、ゴムのシートに小さな穴を開けて、そこに歯の頭を出して、金属製バネ(クランプ)や糸ようじ(フロス)などで歯に固定する方法です。つまりラバーダム防湿法は、無菌状態である歯の神経(歯髄)を唾液や細菌からを隔離する方法です(歯のための小さな手術室を作る方法)。海外では歯の神経の治療を専門としている歯科医師の90%以上が使用しています。アメリカでは、犬の歯科治療でさえ、ラバーダムシートを使用します。しかし日本では、その普及は極めて低く、5%以下とされています。長期的な予後ではラバーダムを行った歯の神経の治療の成功率が90%以上とされているのに対しラバーダムを使用せず治療を行った場合の成功率は50%以下と報告されています。当院では、歯の神経治療の前準備で歯の破折を引き起こしてしまう可能性が低い場合には、可能な限りラバーダム防湿法を行っています。当院ではラバーダム防湿は歯の神経治療を成功へと導く重要な要件と位置づけそれは何より歯の為、患者さんの為にしなければならないと考えているからこそこだわりを持って実施を推奨しています。
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ラバーダム防湿法のメリット
- 治療歯を清潔な状態に保てます
- 唾液や舌の影響を防ぐことにより歯を清潔で乾燥した状態に保つことができます。
また、治療費の面、必要な薬液を口腔内に垂れ流す危険が少なく安全です。 - 丁寧に治療を行うことができます
- 感染源となる唾液を排除する以外に口腔内の軟組織(歯肉・口唇・舌・頬)の排除と保護がすぐ行えます。ラバーダムをする事により歯科医師が左手で口腔内の口唇や頬を押さえる必要がなくなり、両手で治療が行えるのでより丁寧な治療が可能となります。
- 治療を受ける患者さんも安心
- ラバーダム防湿法のメリットを知っていただくことにより患者さんにも安心して治療を受けて頂けることができます。治療器具の誤嚥の予防にもなり安心です。
料金表
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抜随/感染根管
(ラバーダム・隔壁代・コア除去代・投薬代含む)前歯 ¥77,000/¥99,000(税込) 小臼歯 ¥99,000/¥121,000(税込) 大臼歯 ¥121,000/¥143,000(税込) -
歯根端切除術
前歯 ¥121,000(税込) 小臼歯 ¥143,000(税込) 大臼歯 ¥165,000(税込) ※投薬代含む、3ヵ月後・6ヵ月後の検診代を含む
※当院で行った歯内療法後、半年以内に外科的歯内療法が必要になった場合は半額になります。 -
MTA(覆髄・パーフォレーションリペア) ¥33,000(税込) 破折ファイル除去 ¥55,000(税込) -
根管治療の注意点
- 自費診療になるため、保険診療に比べ費用がかかります。
- 来院が複数回に及ぶことがあります。
- 根管治療後、熱や痛みが出る場合があります。
- 複雑な根管の場合、治療の成功率は下がる傾向があります。
- すべての症例に歯髄保存療法が適用できるわけではありません
- 使用している薬にアレルギーがある場合は適用できません