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時の流れに身を任せ〜

 

 バンクーバーにあるHotel Europe。雨上がりの水たまりに映る姿がなぜか切なくて、思うままにシャッターを切った。街灯と落ち葉と鉛色の空が憂鬱で不完全な空気を漂わせていた。

 父親からもらった60年前のアンティーク時計。角ばってて、傷だらけ。短針なんてもはや正確に時を表示していない。これで9時05分。毎回ちょっと考えてから時間を確認してる。でもその不完全さがたまらなく愛しくなる。風防ケースを変えてもらおうとお店に行ったら、”この型のものは生産してません。”とあっけなく断られた。せめて研磨だけでもしてあげてと頼んだら駄目もとですけどいいですよっと。まだまだこの先相棒として充分な輝きを取り戻して帰ってきた。ゆっくり時間をかけてきたものにはそれだけで答えがそこにある気がする。毎日決めなきゃいけないこともたくさんあるし、周りに合わせないと置いてけぼりにされそうな感覚に見舞われてしまうこんな時代だからこそ、たまには時間に身を任せて成り行きに、不完全に答えを待つのもいいのかも。

 

 

 

 

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