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SPEC(特殊能力)

           受付にアクリル板設置

コロナの影響でこれまで控えていた外科的な治療を再開し、6月は忙しく、このブログを書くこともすっかり忘れ、日々は患者さんを待たせてしまったり、スタッフに強く当たってしまったりして、一日が終わると最もしたくないことをしてしまったと自己嫌悪に陥る日が多かった。また過去に自分が治療した部分がわずか3年とか5年とかで壊れてしまった患者さんが続けて来院され、本当は目を背けたくて仕方がなかった。手を抜いたつもりはもちろんないのだけれど、やはり治療計画が甘く、技術が稚拙だったんだと自分をなじった。「現実を見るのは辛いのだけれど、しっかりとその時の状態を写真で撮り、動画で撮り、記録することが何よりも大事でチャンスだ」と師匠に言われたことを思い出していた。またこの自粛期間中Netflixで大好きだった”SPEC”を見つけ、主人公の当麻紗綾が悪い奴らにそのスペックを使えば、嫌なことは全部忘れて、全部思いのままにできる、とそそのかされる場面で「辛いことも悲しいことも全部私の財産」と言って自分の欠点も過去も全て受け入れていたところに泣きそうになった。一緒に見ていた子供達はなんで?そこ感動する?って感じだった。「もし特殊な能力を一つ持てるのなら何がいい」なんて小学生みたいなやりとりを子供達としてみた。「いいことも悪いこともいいことに考えられて、いいことも嫌なことも忘れない能力」と真剣に答えたら、子供達は「私は別にいらない。今のままでいい」と。いつの間にか大人になった子供達になんだか負けた気がした。父の日に子供達が作ってくれたおはぎを見ながら、「大好物のあんこをどれだけ食べても太らない能力」と言いかけたが2戦2敗は勘弁したい。「パパは不格好でもいいから全てを受け止めていい味出すよ、このおはぎみたいに」と言いかけたが、これ以上傷つくのが怖いから、声には出さずに黙って全部一気に食べた。

 

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