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マイクロスコープを使うということ
マイクロスコープを使うとそんなに違うのかとよく聞かれます。ほぼ全てのcaseに使っていますが,その条件としてはマイクロスコープで見ている映像が左手に持った歯科用のミラー越しの映像ではなく,直接拡大して見ている直視下で治療することができるという条件の中で初めて成り立つものだと確信しています。師である秋山勝彦先生が開発したその テクニックは決して簡単ではありません。長い間研修を重ねて,多くの時間を費やしてきましたが,今もなお日々新しい発見があります。マイクロスコープを使っているからといって,もしミラー越しの反転する映像の中で本当に精密な治療と言えるかどうか私は不安です。綺麗に虫歯が取れたかどうか,歯石が取れたかどうかなどの確認にミラーを使うのはいいと思いますが,治療となるとミラー越しの処置は不確実さが増してしまいます。
秋山先生は講演会で『例えF1ドライバーでもバックミラーを覗きながら時速300キロでコーナーを攻めることができるか?』とおっしゃっていました。流石のプロでも無理だと思います。
先週患者さんから引っ越しをするということで,どこかいい歯医者さんを紹介して欲しいと聞かれました。実は1番困ってしまう質問です。でもその答えとして“マイクロスコープを持っているだけでなく,直視で行なっているかどうか“を判断基準にすることをお勧めしています。
これからも色々な場面で活躍してくれるマイクロスコープですが,今日も一日マイクロスコープをのぞいた私の目は老眼のせいだけではなく,もうショボショボです。でももう肉眼治療には二度と戻れない。