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インプラント症例
この患者さんは当時74歳。他院で今まで歯の治療を受けてきたが,いい思い出はなく,定期的なメインテナンスを受けるという考えはなく,まして予約を守ったことはなく,痛い時に飛び込みでその都度診てもらうスタイルで50年以上過ごしてきたとのこと。最初に歯の話をしたときは,ほとんどが歯医者に対するクレームで難しい患者さんという記憶がある。この患者さん何を隠そう私の父です。
あれからもう11年が経ち,85歳になった父もメインテナンスには予約を守ってマメに通い,ナイトガードもたまに忘れることはあるけど使い続けている。身内の治療ほど嫌なことはなく,失敗したら一生なんて言われるか分からないというかなりの重圧の中で手術をしたことを思い出した。インプラントは一生持つ治療方法だとは決して言えません。多くの患者さんから学ばせていただいたことの一つとして,インプラントが長期に機能し,快適に過ごすことができるのは,その患者さんが持っている免疫力を頼りに,医療を提供する側はそのお手伝いをしているに過ぎないこと。術者側の腕はなくてはならないのですが,うまくいったケースはそれはあくまで患者さんの持っていた免疫力や体の丈夫さに助けられているだけのような気がしています。だから奢ることなく,これからも自信など持たずに勉強していきます。