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本当の予防とは?

 2012年初診時は左下の臼歯部からの排膿と腫脹があるということで遠方から来院。マイクロスコープを使って腫れの原因となっている歯根内のメタルコアをなんとか除去し、消毒を繰り返し歯根壁に開いていた穴をセメントで修復し、その時は症状も消え、冠をセットして終了した。定期検診のお約束をしたものの来院が途絶え、常にあの患者さんどうなったかなと気にしつつも、難しいケースであったこともあり、自信もない私からは無責任とはいえ積極的に患者さんに「その後どうですか?」なんて問い合わせる勇気はありませんでした。それから5年が経ち、かぶせた冠が割れてしまったということで来院されました。再度なぜ冠が割れてしまうのか、なぜ歯磨きをいつもしっかりしているにも関わらず奥歯に治療の後がたくさんあるのか、なぜ左側上下の歯を失ってしまうのか、など原因となっている歯並びを改善することが将来に対して歯をこれ以上失わないための本当の予防となりうることをお話ししました。この時この患者さんの年齢は52歳。今更矯正なんて。。。とおっしゃられる患者さんが多い中、この患者さんは真摯に耳を傾けていただき、私も嘘つきにならないように、詐欺師にならないようにできるだけのことをすることを約束しました。とは言っても歯科治療の場合試すことができないため、毎回ドキドキしながら歯の移動やかみ合わせをその都度見て判断して調整してという感じで頭をフル回転で治療していました。これで終わりという線引きが歯科治療では難しく、完璧とはいかないまでもこの状態が長く維持されるように今後もメインテナンスで経過を追っていく必要があると思います。期間がかかり、痛みを伴う歯科治療では患者さんの忍耐や気遣いの上で成り立っていることを実感しました。今後ともどうぞよろしくお願いします。  

 

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