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20年前の今頃、大阪で行われた開業セミナーに参加した。開業、経営リスクマネージメント株式会社の齋藤忠先生にお会いした。そのセミナーの中で齋藤先生がおっしゃっていたことを思い出す。

”開業後5年で半数の院長が志を無くし、その5年後にはさらに半数が志を無くす。肉体勝負が不可能となる厄年あたりから未来への希望を失っていく。多くの院長は投資なきリターンを求め、経営難に見舞われていく。50代になっても投資しなければならない。多くの院長は30代で我が世の春を謳歌し、因果応報により50代で経営難に”

あの頃30歳だった自分は、50歳は遥かずっと先でそんな日が来るなんて想像もしていなかった。があっという間に来た。8年前自分で書いたスタッフに向けた文章が出てきて見返してみた。

「こころ歯科クリニックは2017年9月で開業以来10年目という節目の年となります。開業して以来多くの方に支えられ、また絶えず歯科に関する様々な勉強を続け、治療方針も、治療方法も変化してまいりました。勉強すればするほど歯科治療の奥深さに圧倒され、その責任の大きさに恐怖にも近い感情に苛まれることが、歯科医師になって随分と経った今でもよくあります。また当院の基本姿勢としてマイクロスコープの拡大視野下での治療、拡大視野下でのメインテナンスを最重要事項と考え、よく見て診断する、よく見て治療する、よく見て汚れを取る、ことを心がけており、多くの集中力と術者の目に負担がかかります。そのため残念ながら多くの患者さんを診る、早く適当に治療することには当院のシステムは不向きです。歯科の保険治療でカバーできること例えば、診査のための口腔内写真やレントゲン写真を撮影する。悪くなってしまった歯を抜く、痛くてしょうがない時の応急処置等は保険治療があることで負担を少なくすることができ、諸外国に比べ非常に恵まれていることであると思います。ただし虫歯を治療した後に保険治療では金属、あるいはレジン(プラスチック)を詰めますが、歯と硬さが異なるものを入れた場合、咬合の力で元の歯にヒビを入れてしまうことが明らかになっています。また金属アレルギーの原因になることもわかっています。保険治療で安いからといって悪いとわかっているものを体に入れることに罪悪感を覚えてしまいます。」

2025年現在、過去に書いた治療への思いはより強くなっているようで、残りの限られた時間の中で自分の体力と集中力を何に使うか、ずっと考えています。 「斎藤先生。先生がおっしゃっていた”志”はどうやらまだ私の中では消えていないようです。自分の考えに響いてくれる患者さんやスタッフが周りにいる環境を続けていけるよう頑張ります。」

 

 

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