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コンポジットレジンの功罪
caseコンポジットレジンの功罪
保険治療に使われているコンポジットレジンは、安くて見た目も白いため、日本では今でもよく使われている。この方も奥歯の虫歯治療に昔、保険の詰め物を詰めたとのことで、新たに虫歯がある自覚や症状は全くなく、レントゲンでは虫歯があるかなんとか確認できる程度でした。
古いコンポジットレジンを削ると

奥の壁に、ヒビのような線と黒い影が見える。

マイクロスコープで拡大していくと、明らかなひび割れ(マイクロクラック)とそれに続く虫歯の広がりが確認できる。

マイクロクラックを頼りに少し削っていくとさらに深いところにも虫歯が確認できる。


慎重に虫歯を取っていく。肉眼やルーペではマイクロクラックは確認できない。コンポジットレジンで詰めてあると、歯の硬さと異なるため、歯を内部から支えることができず、薄い壁が残っていると咬合力によりヒビが入ってしまう。虫歯菌はひび割れの約10分の1の大きさであるため容易に歯の内部に侵入できてしまう。

その奥の歯にも小さいがコンポジットレジンが詰めてあった。一見するとマイクロスコープでもわからないくらいだが、コンポジットレジンは経年的に重合収縮するため、その範囲が大きくなればなるほど収縮量も大きくなり、隙間からの虫歯の侵入を許すことになり、コンポジットレジンの下で新たに虫歯ができていることがほとんどである。

コンポジットレジンの下の虫歯
材質の問題にもかかわらず、虫歯になってしまったのは磨きが悪いからと患者さんのせいにして、また再治療して、またコンポジットレジン詰めて。。。。これが今の日本の保険治療の現状です。数年前アメリカの学会に参加した際、日本では有名な先生がコンポジットレジンを綺麗に詰める症例をプレゼンしていた。プレゼンが始まり5分も経たないうちに会場にいた日本人以外の外国の先生たちは早々に席を立ち、会場から出て行ってしまった。最初はランチタイムが近いからお腹空いてるのかな?なんて呑気に思っていました。後から出て行ったアメリカの先生に聞いてみるとアメリカではもうすでにコンポジットレジンは時代遅れの治療で長期予後は悪く、今更なんのプレゼンだ?ということだったようだ。
帰国後しばらくして日本の歯科専門雑誌を何気なく見ていると、その時発表していた先生の記事があり、”・・先生アメリカで講演、アメリカで大絶賛だった”。と書いてあった。私がいる世界はこういう世界なんだと、日本にいるだけだと平気で騙されることを身をもって学んだ。
当院では①なるべく歯科医師が介入しないでなんとか詰めずに済むのが一番、様子見るのが第一選択。②マイクロクラックがこれ以上入らないように矯正治療で咬合負担を軽減する③すでにかけてしまっている或いは再治療の必要があるなら、歯に硬さが近くて変形しないセラミックかジルコニアでマイクロスコープの拡大明視野下で慎重に虫歯を取って詰める。④それ以上マイクロクラックが入らないように夜間のマウスピースをお勧めする。という流れです。
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